等加速度運動でモンキーハンティングの解説!証明の方法も伝授!
今日はモンキーハンティングについてご紹介したいと思います。
モンキーハンティング問題という言い方をよくされますが、今まで学んできた等加速度運動の総復習として用いられることが多いです。
この問題を自力で解けるようになれば、おおよその等加速度運動の問題は解くことが可能ですし、基本的なことは理解できていると考えてよいと思います。
このモンキーハンティング問題で何か実生活に実用できるかといわれると難しいですが、この現象を学んだ時、物理って面白いかも!って少し感動したのを覚えています。
等加速度運動でモンキーハンティングの解説!
ここではモンキーハンティングとは何か、等加速度運動とのつながりを見ていきます。
モンキーハンティングって何?
モンキーハンティングを初めて耳にした方も多いと思います。
モンキーハンティングとは地面に立っている自分が木にぶら下がっているサルの手に向けてバナナを投げたと同時にサルが木から落ちるとき、サルはバナナをキャッチすることができるというものです。
(ただしお猿さんが地面に到着するまでにキャッチできるものとします。)
猿の落下位置を予測して投げるわけではありません。
猿の手をめがけて投げたので当然狙ったところより下の位置にバナナはいってしまうのですが、ちょうどそこにお猿さんが落ちてきてくれるのがモンキーハンティングです。
そういえば小さいころに兄弟で、微妙に締まりきっていない蛇口の1滴1滴おちる水滴を的にして、水鉄砲で当てれるかゲームやってたことがありますが、これはほぼモンキーハンティング問題に近いですね。
当時これを知っていたところで、落ちる水滴と同時に水を発射させることなどほぼ不可能ですし、だいたい発射させる前に水滴はすでに地面にたどり着いてたのでほとんど当たらないんですけどね。
モンキーハンティングと等加速度運動との関連
モンキーハンティングの説明をしましたが、モンキーハンティングと今まで学んだ等加速度運動にどんな関連があるのでしょうか。
まずは分かりやすいお猿さんのほうから考えます。
お猿さんはバナナを投げられたと同時に落下を始めます。
重力だけに従って落っこちている状態です。
落下するだけなのでこれは自由落下と同じですね。
次にバナナです。
まずお猿さんに向かって投げるので、水平方向の運動があります。
投げた後のバナナは重力によって下向きに力が働くので、鉛直方向の運動もあります。
故にバナナは斜方投射していることが分かります。
なのでいままで皆さんが学んだことでモンキーハンティングを理解することが可能なわけです。
等加速度運動の公式を用いてモンキーハンティングの証明
モンキーハンティングが何か分かったので、次はいよいよ証明に入ります。
正直、本当にキャッチできるの?というのが本音だと思います。
ここでは等加速度運動の公式を用いて証明をしていきたいと思います。
状況と変数の指定
問題を考える上で変数を指定しておきます。
お猿さんは地面から$h$の高さの木の枝にいて、自分はその木から$x$離れたところに立っています。
バナナは初速度$v_0$で投射し、その角度を$θ$とします。
重力加速度は$g=-9.8m/s^2$です。
お猿さんがバナナをキャッチできることを証明するにはバナナが木のある位置に到達するとき、地面からの高さがどちらも同じ高さであればいいわけです。
そしてもう一つ重要なのがお猿さんがバナナをキャッチするとき、お猿さんの落下していた時間とバナナが手元を離れてお猿さんに届くまでの時間が等しいということです。
これに気づければあとは公式を使って証明するだけです。
モンキーハンティング問題の証明
まずは時間を求めます。
バナナが水平方向に$x$進むまでの時間を$t$とすると、等速運動なので
$$x=v_0cos(θ)t$$
故に
$$t=\frac{x}{v_0cos(θ)} ・・・①$$
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次に地面からの高さを求めます。
お猿さんがこの時間$t$の間に落下する距離を$z$とすると、自由落下なので鉛直上向きを正として、
$$z=-\frac{1}{2}gt^2$$
故に地面からの高さを$y$とすると、
$$y=h-z=h+\frac{1}{2}gt^2 ・・・②$$
バナナの高さを$i$とすると斜方投射なので、
$$i=v_0sin(θ)t+\frac{1}{2}gt^2 …③$$
ここで先ほど求めた式①を②と③の両方に代入します。
②式は
$$y=h+\frac{1}{2}g×(\frac{x}{v_0cos(θ)})^2$$
$$y=h+\frac{gx^2}{2v_0^2cos^2(θ)}$$
③式は
$$i=v_0sin(θ)×\frac{x}{v_0cos(θ)}+\frac{1}{2}g×(\frac{x}{v_0cos(θ)})^2$$
$$i=xtan(θ)+\frac{gx^2}{2v_0^2cos^2(θ)}$$
$$i=h+\frac{gx^2}{2v_0^2cos^2(θ)}$$
最後は$tan(θ)=\frac{h}{x}$というのを使いました。
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これで$y=i$が成り立ったので、お猿さんはちょうどバナナをキャッチできることになります。
以上により証明は終了です。
モンキーハンティングが成り立つ条件は?
モンキーハンティング問題は斜方投射と自由落下の組み合わせですが、常に成り立つとは限りません。
このモンキーハンティングが成り立つにはいくつかの条件があります。
それは以下の2つです。
- 角度$θ$は$tan(θ)=\frac{h}{x}$を満たす
- 初速度$v_0$で投げた時、お猿との水平距離$x$を超えるまで地面についてはいけない
逆に以上の2つさえ守れればモンキーハンティングは成り立ちます。
例えお猿さんが木をどれだけ高く登っていようが、木からどれだけ離れたところからバナナを投げようが、バナナをお猿さんの手をめがけて投げた時、木よりも遠くに落ちるような軌道を描きさえすれば、お猿さんはバナナをキャッチできることになります。
キャッチできることだけでも不思議なのに、距離も高さも関係ないなんて驚きですね。
ところで、モンキーハンティングが成り立つ条件として初速度が出てきました。
条件を満たす初速度はどのように表現できるのでしょうか。
距離$x$だけ進んだ時地面より高い位置にいればいいので、$i>0$であればいいわけです。
よって③式を使って
$$i=xtan(θ)+\frac{gx^2}{2v_0^2cos^2(θ)}>0$$
$$v_0^2>-\frac{1}{xtan(θ)}×\frac{gx^2}{2cos^2(θ)}$$
ここから三角関数の公式$\frac{1}{cos^2(θ)}=1+tan^2(θ)$と、$tan(θ)=\frac{h}{x}$を用いて
$$v_0^2>-\frac{1}{xtan(θ)}×\frac{gx^2(1+tan^2(θ)}{2}$$
$$v_0^2>\frac{gx(1+tan^2(θ)}{2tan(θ)}$$
$$v_0^2>\frac{gx^2(1+\frac{h^2}{x^2}}{2h}$$
$$v_0^2>\frac{g(x^2+h^2)}{2h}$$
$$v_0>\sqrt{\frac{g}{2h}(x^2+h^2)}$$
これで初速度の条件が出ました。
まとめ
モンキーハンティングが理解できましたか?
成り立つことの証明や条件を紹介しましたが、証明できたとはいえやっぱりなんか不思議な気持ちになりますよね。
直感的には理解しずらいからこそ数字を用いて証明できた時、物理の不思議さを体感できるのかもしれません。
途中、モンキーハンティング問題に近い遊びをお話ししましたが、案外難しい遊びなので皆さんもやってみるといいですよ。
発射した水が大概右行ったり、左行ったりしてしまうのを修正するところから始まるので。
今日で等加速度運動は終了になりますが、よくわからないことなどあれば復習したり、コメントに書き込んでもらえたらと思います。
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