自由落下は一番身近?公式は当てはめればいいだけ!
今日は等加速度運動で公式を習った後の、おそらく最初に学ぶと思われる自由落下について学びます。
自由落下は現実の物理運動の一番シンプルで基本的な運動になります。
自由落下の説明や考え方もお教えしますので、しっかり理解しましょう。
最後は自由落下に関連して空気抵抗のお話もしています。
シンプルで単純な系から少し現実へ近づけた系で問題を書いているのでぜひ挑戦してみてください。
自由落下とは
さて自由落下とはどういった運動でしょうか。
答えは字の通り、静止していた物体が自由に落下する運動のことです。
重力だけで落下し、それ以外の力は一切加えてはいけません。
もちろん空気抵抗や浮力も例外ではありません。
ちょっと締まりきっていなくて水がぽたぽた落ちている蛇口の水はこの自由落下に近いです。
自由落下に近いというのは、落ちた水は空気抵抗の力を受けるからです。
しかしはじめ静止していて重力だけで落下している点は自由落下といって差し支えないでしょう。
自由落下の特徴
自由落下の特徴として以下が挙げられます。
- はじめ($t=0$)は静止している
- 物体の大小や重さにかかわらず一定の加速度で落下する
- 加速度は鉛直下向きでその大きさは9.8$m/s^2$である
これらの特徴は自由落下の問題を解くうえで大きな手掛かりであり道具になる大事な事柄です。
どういう運動かを想像すれば、これらの特徴は当たり前に感じるかもしれませんが、しっかりと頭に入れておきましょう。
等加速度運動における自由落下の考え方
自由落下の特徴は問題を解くうえで大事になるという話をしました。
自由落下の特徴を物理学的に表現すると以下のようになるはずです。
自由落下の特徴 | 物理学的な表現 |
はじめ($t=0$)は静止している | 初速度$$v_0=0(m/s)$$ |
物体の大小や重さにかかわらず一定の加速度で落下する | 重力加速度を$g$として鉛直上向きを正とすれば、$$g=-9.8(m/s^2)$$ |
加速度は鉛直下向きでその大きさは9.8$m/s^2$である |
ここで注意が必要なのは重力加速度$g$です。
読者の教科書には$g=9.8(m/s^2)$となっている人もいるかと思います。
これは重力加速度がベクトルであるためにどちら向きを正ととるかでマイナスをつけるかプラスになるかが変わります。
物が落下する方向(鉛直下向き)を正とするならば、$g=9.8(m/s^2)$が正しいです。
この記事では、あらゆる物体の運動でも汎用的に使えるよう鉛直上向きを正、水平右向きを正として定義します。
鉛直上向き、水平右向きを正としたのは、グラフを書く際、縦軸と横軸の正の向きが上、右になるからです。
教科書のやり方を採用するか、さぼだるのやり方を採用するかは自由ですが、私は混乱なく使える鉛直上向き、水平右向きを常に正として考えるやり方を推奨します。
自由落下の公式
さてお待ちかね?の覚える必要のない公式です。
$g$は重力加速度で$g=-9.8(m/s^2)$です。
(正の向きによりプラス、マイナスが異なる可能性があります。さぼだるでは上向きを正、右向きを正としています。)
$$v=gt$$
$$x=\frac{1}{2}gt^2$$
$$v^2=2gx$$
ここで教科書により$x$の部分が$y$になっているかもしれません。
通例的に縦軸方向は$y$軸、$x$は横軸方向とすることが多いため、縦方向にしか運動しない自由落下では$y$を使っているだけです。
さぼだるでは等加速度運動の公式に基づき、変位は$x$と統一して表現します。
さて覚える必要がない理由のヒントは既にたくさん出ていますが、なぜ覚える必要がないか説明します。
簡潔に書くと、「等加速度運動の式から必然的に導かれる」からです。
自由落下の特徴を思い出してみましょう。
初速度$v_0=0(m/s)$、加速度$a=g=-9.8(m/s^2)$でした。
これを等加速度運動の公式に代入してみましょう。
1つ目の公式
$$v=v_0+at=0+gt=gt$$
2つ目の公式
$$x=v_0t+\frac{1}{2}at^2=0×t+\frac{1}{2}gt^2=\frac{1}{2}gt^2$$
3つ目の公式
$$v^2-v_0^2=2ax$$
$$v^2-0=2gx$$
$$v^2=2gx$$
自由落下の公式が導けました。
導出が難しかったでしょうか。
いえ、そんなことないはずです。
自由落下の特徴を代入しただけですから。
これで自由落下の公式なんて覚える必要ないですね!
ここで少し気にしてほしい点が1つあります。
それは自由落下の速度は物体の質量には依存しないことです。
ふつう、重い物体は速く、軽い物体は遅く落下しそうですが、物理学的にはどちらも同じ速度で落下していきます。
でも現実はそうではありません。
その理由は次で説明します。
雨は自由落下している?
リアル世界で自由落下してそうな物体で一番身近なのは水滴や雨だと思います。
でも雨って実は自由落下をしていません。
それは空気抵抗を受けているからです。
自由落下は重力のみの力を受けて落下していくので、抵抗力を受けている雨は自由落下していないことになるのです。
空気抵抗を受けている物体は最終的には速度が一定になります。
重力と空気抵抗の力が拮抗したときが最終的な速度です。
基本的に球体で形の変形しない物体であれば、空気抵抗の抵抗力は速度に比例することが知られています。
数学的に表現すると以下のようになります。
比例定数を$k$、抵抗力を$R$とすると
$$R=kv$$
で表すことができます。
はじめ自由落下していた物体が、徐々に速度を上げていき、同時に抵抗力を上げ重力と抵抗力が等しくなったとき、つまり
$$mg=kv$$
となったとき速度が一定になります。
よって最終的な速度は
$$v=\frac{mg}{k}$$
になります。
この速度を終端速度と言ったりします。
比例定数$k$が同じどうしの物体であれば、終端速度は質量に依存することになります。
よって重い物体ほど空気抵抗を受けても速い速度で落ちますし、軽い物体はすぐに重力と抵抗力が等しくなって遅い速度で落下していきます。
重い物体と軽い物体で落ちる速度が異なるのはこの抵抗力が原因です。
ただし、これはあくまで物体が球体でかつ変形しない物体に限られます。
例えば落とすものが鳥の羽や紙だったら、速度なんて一定になりません。
紙飛行機を飛ばした時もすぅーっと行く時もあればふわっっと急ブレーキをかけて浮遊するときもあります。
その物体が受ける抵抗力はおそらく面積や形状にも依存するでしょう。
気になる人は深く学んでみると面白いかもしれません。
まとめ
自由落下を理解できましたか。
等加速度運動の公式を覚えたあなたなら、5秒かからず自由落下の公式が出てくるのではないでしょうか。
こんな簡単に導ける公式を必死に覚えるなんてもったいないと思いませんか。
覚える必要のある所は必死に覚えて、覚えなくていいことなら別のことを覚えたいですよね。
自由落下は等加速度運動の基本中の基本です。
今は一直線上の運動ですが、平面上(2次元)の運動、立体空間上(3次元)の運動を解くうえでもこの自由落下の考え方を用いていくことになります。
なのでしっかりとマスターしていきましょう。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません