水平投射の特徴と考え方!公式も紹介!
今回は水平投射について勉強します。
前回までは1直線上(または1軸上)の運動、すなわち$x$軸だけ(または$y$軸だけ)でしたが、今回からは平面上の運動($x$軸と$y$軸の両方と関係)を学んでいきます。
1次元(1D)から2次元(2D)へ拡張していく、ということです。
これができれば、そのあとも3次元の考え方もすんなりいけるようになると思います。
2次元の運動の種類も2種類ほどありますが、今回は水平投射を学びます。
水平投射とは何かから始まって最後は例題を解いて理解を深めていきたいと思います。
水平投射とは
水平投射とはどういった運動でしょうか。
水平投射とはある高さから水平方向に投げ出される運動のことです。
投げられた物体は、右向きに投げられたときその方向へ進みながら重力により徐々に落下していきます。
自由落下、鉛直投げ下ろし、鉛直投げ上げと同じように重力以外の力は一切加えてはいけません。
もちろん空気抵抗や浮力も例外ではありません。
リアル世界で水平に投げ出すものといえば、フリスビーでしょうか。
フリスビーはかなり空気抵抗を受けて飛ぶので水平投射にはなりませんが、物体の発射の仕方はフリスビーの飛ばし方をイメージすれば問題ないと思います。
フリスビーで遊んだことある人は分かるかと思いますが、あれまっすぐ飛ばすのが結構難しいですよね。
遠くに飛ばそうと思うほど、力んでしまって円盤が傾いて違う方向へ飛んで行っちゃうんですよね。
何回小枝に引っ掛けたことか。
それが面白くて楽しいところでもあるんですけどね。
水平投射の特徴
鉛直投げ上げの特徴として以下が挙げられます。
- 鉛直方向は自由落下と同じ運動をする。
- 水平方向は等速運動と同じ運動でその速度は初速度に等しい
2次元の世界になると難しく感じますが、鉛直方向と水平方向それぞれで見れば等加速度運動と等速運動になるので決して難しいものではなくなります。
水平投射の考え方
水平投射の特徴で述べたように水平投射は鉛直方向と水平方向で分けて考えることで、物体の運動をとらえることができます。
2軸に分けて考えるので、ベクトルの考え方や分解が理解できていない人は、まずはそちらからマスターしていきましょう。
鉛直方向の運動は自由落下と同じなので、自由落下の公式(=等加速度運動の公式)を使うことができます。
一方で水平方向の運動は等速運動でした。
よって小学校で習った知識で解くことが可能です。
あとはこの2方向の情報を組み合わせて解くだけになります。
いっぺんに両方の情報を取り扱うと、うわぁ~って混乱するので、分担して解きましょうってことです。
ナルトの螺旋丸もはじめはひとりでやろうとしていましたが、影分身を使って分担することで容易になったんですよね。
水平投射の公式
それでは公式を見てみます。
ここで鉛直上向き($y$軸)を正、水平右向き($x$軸)を正とし、物体は水平右向きに投射されたとします。
2方向について考えるので、変位も軸に合わせて鉛直方向を$y$、水平方向を$x$と表記します。
同様にして、速度の分解で学んだように、物体の鉛直方向の速度を$v_y$、水平方向の速度を$v_x$とします。
ただし、$v^2=v_y^2+v_x^2$(三平方の定理)です。
水平方向
水平方向は等速運動でした。よって
$$v_x=v_0$$
$$x=v_xt=v_0t$$
$v_x=v_0$なのは等速なので初速度のまま運動し続けるからです。
焦っていると速度の水平成分がわからない、ってなってしまうので、水平投射の特徴をしっかり理解していきましょう。
鉛直方向
鉛直方向は自由落下と同じでした。よって
$$v_y=gt$$
$$y=\frac{1}{2}gt^2$$
$$v_y^2=2gy$$
変位は$x$→$y$に表記を変えているので注意してください。
水平方向と鉛直方向の関係
水平投射は鉛直方向と水平方向の2軸に分けて考えることで理解してきました。
ではあえて分けた2つを関連付けてみると水平方向と鉛直方向の関係性はどのようになるのでしょうか。
まずは速度についてみてみます。
物体の速度は$v_y$と$v_x$のベクトル和なので
$$v=\sqrt{v_x^2+v_y^2}$$
変位の関係はどうなるでしょうか。
$x=v_xt=v_0t$ と $y=\frac{1}{2}gt^2$ から$t$を消去してみます。
$x=v_xt=v_0t$を$t=$の形に変形すると$t=\frac{x}{v_0}$なので、代入して
$$y=\frac{1}{2}g×(\frac{x}{v_0})^2=\frac{g}{2v_0^2}x^2$$
係数$\frac{g}{2v_0^2}$は$x$に依存しないので、この式$y=\frac{g}{2v_0^2}x^2$は$x$の2次関数であることが分かります。
よって原点を頂点とし、$y$軸を軸とした関数と言えます。
またこの式は物体の位置関係を表すため、水平投射したときの物体の軌道(物体が通る軌跡)を表しています。
水平投射の例題
水平投射を学んだので少し例題を見てみたいと思います。
高さ$h$から初速度$v_0$で発射された物体を考えます。
床に到着したとき、水平方向の距離とかかった時間、そのときの物体の速さを求めてみましょう。
床に到着したとき、落下距離は$h$のはずです。
よって、
$$-h=\frac{1}{2}gt^2$$
$$t=\sqrt{-\frac{2h}{g}}$$
これで床に到着するのにかかる時間が求まりました。
ここでルートの中が-(マイナス)のように感じおかしいと思うかもしれませんが、重力加速度$g(<0)$なのでルートの中は+(プラス)になります。
水平方向は等速運動なので、
$$x=v_0t=v_0\sqrt{-\frac{2h}{g}}$$
これで水平方向の距離が求まりました。
最後は速度です。
まず水平方向の速度は等速運動なので
$$v_x=v_0$$
鉛直方向は
$$v_y=gt$$
$$v_y=g×\sqrt{-\frac{2h}{g}}$$
$$v_y=\sqrt{-2gh}$$
よって物体の速度は合成をすればよいので、三平方の定理から
$$v=\sqrt{v_x^2+v_y^2}$$
$$v=\sqrt{v_0^2-2gh}$$
これが床に到着したときの物体の速度です。
ではここでさらに問題を深めてみましょう。
$v_y\ge 2v_x$になるための高さ$h$の条件と$v_y=2v_x$のときの物体の速度を求めてみます。
は?って思うかもしれませんが実は簡単に解けます。
$v_y\ge 2v_x$になるための高さ$h$の条件は
$$v_y\ge2v_x$$
$$\sqrt{-2gh}\ge2v_0$$
$$-2gh\ge4v_0^2$$
$$h\le-\frac{2v_0^2}{g}
これが高さ$h$の条件です。
$v_y=2v_x$のときの物体の速度は
$$v=\sqrt{v_x^2+v_y^2}$$
$$v=\sqrt{v_x^2+4v_x^2}$$
$$v=\sqrt{5}v_x$$
$$v=\sqrt{5}v_0$$
これが物体の速度です。
意外に簡単に解けたと思います。
しっかり状況を整理して、分かっている値とわかってない値をしっかり把握して、あとは等式、不等式が成り立つものをみつけて代入したり公式に当てはめたりするだけで解くことができるんです。
なにせ、元はせいぜい2次関数の問題なんですから数学と思って解けばいいだけです。
まとめ
水平投射を理解できましたか。
2次元に広がりましたが、結局は自由落下(等加速度運動)と等速運動の組み合わせです。
水平投射もある程度パターンが決まってしまうものなので、まずはどういうパターンがあるのかいろいろ触れてみてあとは公式なりに当てはめていけば中学生でも解ける問題に化けていきます。
例題でも最後にちょっとした問題を付け加えましたが、まずは$y$軸方向か$x$軸方向のどちらで考えればよいかを見極めることが重要です。
見極めたらあとは等速運動か自由落下のどちらかなのですでに習った知識で解いていくだけです。
よっていままでの知識が理解できていないと厳しくなってきますので、理解できていない人はしっかりと復習していきましょう。
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