物理における速度と加速度の定義とは?積分を使った公式導出!
今日は速度と加速度の定義を紹介します。
そもそも物理では微分や積分を使って物事を表現していきます。
速度や加速度においても例外ではありません。
定義さえ知っていれば加速度運動の公式は、積分の考え方だけですぐに出てきます。
加速度を習うのはおそらく高校1年生で微分積分は習わないため理解するのが難しいですが、微分積分を知った後にこの加速度を再勉強すると、「ちょー簡単じゃん!」ってなってしまいます。
正直物理の基本である微分積分を知らない段階で物理なんて勉強させるなよ(怒)、なんて高1のときに思ってました。
途中は依然学んだ方法との関連も見ていきますので良い復習になるかと思います。
では早速学んでいきましょう。
物理における速度と加速度とは?
ここでは速度と加速度の定義とその意味を紹介していきます。
速度の定義
物体の速度と変位は時刻に依存して変化するのは明らかです。
よって速度を$\vec{v}(t)$、変位を$\vec{x}(t)$と表記します。
すると定義式は
$$\vec{v}(t)=\frac{d\vec{x}(t)}{dt}$$
これが速度の定義です。
加速度の定義
速度と同様、加速度も時刻に依存して変化するのは明らかなので、加速度を$\vec{a}(t)$、速度を$\vec{v}(t)$、時刻を$t$とすれば物理における加速度は次のように表現されます。
$$\vec{a}(t)=\frac{d\vec{v}(t)}{dt}$$
これが加速度の定義です。
加速度の定義式の意味
加速度の定義式を簡単に言ってしまえば速度$\vec{v}(t)$を時刻$t$で微分しただけです。
ここでそもそも微分とは何だったかを思い出してみましょう。
ある関数$f(x)$において$f'(x)=\frac{df(x)}{dx}$と表現したとき、$f'(a)$は関数$f(x)$の$x=a$における接線の傾きを表していました。
では加速度の定義式にこれを当てはめるとどうなるでしょうか。
ある時刻$t=t_1$のときの加速度は、関数$v(t)$におけるその時刻のの傾きであることが分かります。
加速度が大きければその分接線の傾きは大きくなり、少し時間が経った後の速度はより速い値になります。
加速度が小さければ(もっと言えば負の値であれば)逆に遅い速度になります。
これは加速度と速度の関係性を直感的に考えた時となんら遜色ありません。
よって、加速度はその瞬間にどれだけその速度を早くしようとしているか(または遅くしようとしているか)ということが分かります。
ここで今までは一般的な加速度、つまり加速度が変化しうる場合で考えていましたが、高校で学ぶ等加速度を考えてみます。
等加速度は「加速度が一定である」ということでした。
よって等加速度の場合は接線の傾きが一定であることを示しています。
つまり関数$v(t)$は一次関数になります。
積分を使った公式導出
ここでは上で学んだ定義式から等加速度運動の3つの公式を導出してみます。
1つ目の公式
1つ目の公式は速度の式です。
加速度$a(t)$は速度$v(t)$を$t$で微分しただけでした。
よって$a(t)$を$t$で積分すれば$v(t)$を求めることができるはずです。
ゆえに速度v(t)を求める式は
$$v(t)=\int a(t)dt$$
ここで等加速度運動なので、加速度$a(t)$は定数です。
よって積分の外に出すことができて、
$$v(t)=a(t)\int dt$$
$$v(t)=a(t)×t+C (Cは積分定数)$$
ここで時刻$t=0$のときの速度を$v_0$(この速度を初速度と言うんでしたね。)とします。
よって積分定数$C$は
$$v(0)=v_0=a(0)×0+C$$
$$C=v_0$$
よって速度は、
$$v(t)=a(t)×t+v_0$$
これで1つ目の公式が導出できました。
2つ目の公式
2つ目の公式は変位の式でした。
ここでは公式の導出と以前学んだ導出との関連をお話しします。
公式の導出
速度の定義式は$\vec{v}(t)=\frac{d\vec{x}(t)}{dt}$でした。
よって変位$x(t)$は速度$v(t)$を積分すればよいので、
$$x(t)=\int v(t)dt$$
ここまでは1つ目の公式のときと同じです。
ここで1つ目の公式を用います。
速度$v(t)$は$v(t)=a(t)×t+v_0$で表現できました。
これを代入すると、
$$x(t)=\int a(t)×t+v_0dt$$
等加速度なので加速度$a(t)$は定数であることに注意して積分すると、
$$x(t)=\frac{1}{2}a(t)t^2+v_0t+C (Cは積分定数)$$
一般的に変位$x(t)$は$t=0$の場所を原点、つまり基準とします。
よって$x(0)=0$ですから、積分定数$C$を求めると、
$$x(0)=C=0$$
よって、
$$x(t)=\frac{1}{2}a(t)t^2+v_0t$$
これで二つ目の公式が出ました。
以前学んだ導出との関連
2つ目の公式は積分の方法を習う前はv-tグラフの面積から求めていました。
ここで上で学んだ方法を見てみましょう。
変位$x(t)$は定義式から、$x(t)=\int v(t)dt$で求めることができました。
ここで積分の性質を思い出してみてください。
数学において積分するときは何かの面積や体積を求めることが多いのではないでしょうか。
例えば関数$f(x)$において、$x$軸、直線$x=a$、直線$x=b$、関数$f(x)$に囲まれた面積$S$を求める時の式は
$$S=\int_a^b f(x)dx$$
となります。
ここで2つ目の式は$x(t)=\int v(t)dt$で求めたことを思い出しましょう。
これはまさに横軸$x$、縦軸$v(t)$における関数$v(t)$で囲まれた面積そのものであることが分かります。
実際囲まれた面積が変位$x$であることを説明したときを思い出すと、長方形の短冊を2つ、3つと数を増やしていき最後は∞個の短冊にして面積を求めました。
途中で気づいていた人もいるかもしれませんが、これはまさに積分の考え方そのものにほかなりません。
よって変位$x(t)$はv-tグラフの面積で求められることは変位の定義式から明らかです。
もちろんこれは等加速度運動に限った話ではありません。
加速度が変化する運動でも定義式そのものが変わることはあり得ない(そもそも変わったら定義にならない)のでどのような運動でも使うことができます。
3つ目の公式
最後は3つ目の公式です。
ですが、残念ながら3つ目の公式は1つ目の式と2つ目の式から導出するしかありません。
以前学んだ方法ですのでここでは割愛します。
まとめ
今日は速度と加速度の定義式を学びました。
そして、定義式から公式を導きました。
定義式さえ覚えてしまえばあとは積分して、3つ目の公式は1つ目と2つ目の公式から導出するだけになります。
よって公式と謳ってはいますが、3つ目の公式以外はただただ式変形しただけにすぎません。
積分計算そのものも基本的な計算なので、高校数学の積分を習いたてでも十分理解できると思います。
当然公式そのものを覚えていたほうがテストや試験では早く解くことができますが、公式を覚えるのが苦手な人はこちらの定義式を覚えたほうが早いかもしれません。
覚えやすいほうで覚えて物理を理解していきましょう。
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